日本農林種菌にほんのうりんしゅきん株式会社 

このホームページは、主に原木を利用して上手にきのこ栽培を行うために必要な知識・商品などを紹介するものです。
       合成堆肥を使用した
マッシュルーム施設栽培
(マッシュルーム 施 設 栽 培 方 法)
※マッシュルームの自然栽培をご希望の方は春作と秋作に分かれます。
堆肥準備の関係上、春作であれば2月下旬から3月にかけて、秋作の場合は8月下旬から堆肥づくりを
始めます。春作・秋作と表現しますのは、地域により春と秋の時期が異なるからです。
マッシュルーム菌の特性
  • 菌糸の伸長温度は8~27℃程で、適温は23~25℃です。
  • キノコの発生温度は8~18℃で、適温は15~16℃です。
  • マッシュルームの菌は弱湿性です。堆肥や覆土の水分管理に注意します。
  • 堆肥のpH(水素イオン濃度)は最初7.0~7.5に調製しておきます。
    (菌糸が繁殖すると次第に酸性になっていきます。)
  • 換気は菌糸の伸長期間中あまり必要としませんが、キノコの発生期間中は新鮮な空気(酸素)が必要となります。
  • 光は菌糸の培養期間中あまり必要としませんが、キノコの発生期間中は必要です。
    (直射日光は厳禁)。
  • 栽培後の堆肥にはマッシュルーム菌によって植物繊維が分解されており、作物に対する有機肥料として最適です。
表1.マッシュルーム栽培の作業手順と日数
堆肥作り
12~16日
菌床作り
約7日
菌糸培養
約10日
 菌糸培養
20~23日
きのこ発生
60~120日
堆肥殺菌
約2日
堆積→切り返し 床入れ→後発酵 植え付け→覆土 覆土~発生操作  収 穫 廃 床

表2.マッシュルーム栽培の環境要素
   環境
期間
温度 湿度 PH 換気
適温 堆肥 覆土 栽培室内 堆肥 覆土
培養 23~25℃ 60~65% 60~65% 65~75% 7.0~7.5 7.0~7.5 必要でない
発生 15~16℃ 60~65% 60~65% 80~85% 6.5~7.0 7.0~7.5 間接光必要

◎合成堆肥の作り方
マッシュルーム栽培には菌糸が繁殖する堆肥とキノコの発生に使用する覆土の状態が、収穫量や雑菌による被害などに大きく影響するので、極めて重要です。一般に稲ワラや麦ワラは繊維質が豊富ですが、これだけでは窒素量が少ないために発熱発酵ができず、良い堆肥になりません。そこでワラに窒素源を加えて発熱発酵を促して堆肥を作ります。ワラを堆肥にすることから合成堆肥と呼ばれています。自然環境下での栽培は、キノコの発生温度(秋~冬)を考慮して逆算すると、夏の頃に堆肥を作り始めると良いでしょう。夏の気候は堆肥の発熱発酵を容易にしてくれます。
以下に稲ワラを用いた場合の配合例を示しますので、参考にして下さい。
表3.稲ワラを用いた合成堆肥の配合例
材料 10㎡に必要な量 重量比率 使用時期 備考
稲ワラ 375kg 100 堆積時  稲ワラは腐敗していない

 新鮮で乾燥したものがよい。

 麦ワラを混ぜる場合は

 容量の30%以内がよい。
石灰窒素 3.8kg 1 堆積時
尿素 1.8kg 0.5 堆積時
硫酸アンモニウム(硫安) 3.8kg 1 二回目の切返し時
過燐酸石灰(過石) 8~11kg 2~3 三回目の切返し時
750リットル 200 堆積時と切返し時

◎堆積方法
堆積は四等分したワラを高さ150~180cm、縦横180cmの枠に入れ、下部から水が流れ出ない程度に散水しながら踏み込んで30cm程の厚さにし、その上に予め混ぜておいた石灰窒素と尿素を均等に撒き、混合物が一様に拡散して見えなくなるまで均一に散水します。
同じ作業を、高さが150~180cmになるまで繰り返します。この時最上部には石灰窒素と尿素を撒かないで、ムシロヤコモで被覆し、屋内で雨水が流れ込まないようにします。この状態で3日程経過すると内部温度が60~70℃程になります。
◎切返し
切返しは4回行い、発酵状態を均一にする作業です。ワラをほぐしながら空気をさらすように枠に入れて軽く踏み込んで積み上げていきます。このとき内側と外側を入れ替えるようにします。
一回目の切返しは堆積して4~5日ほど経過してワラの内部温度が下がってきたところで行い、少し乾いているようならば軽く散水しながら作業します。作業が終了すると再び温度が上昇します。
二回目の切返しは一回目の切返しから5日前後で温度が下がってくるので、堆積を同じ要領で硫酸アンモニウム(硫安)を撒きます。踏み込みはワラが柔らかくなっているので枠の周辺のみを行い、中央は踏み込みを行いません。
三回目の切返しは二回目の切返し後、5日程(温度が70℃程度になってから2日後)経過した時に行います。
ここでは過燐酸石灰(過石)を堆積を同じ要領で撒きながら、踏み込みを行わないで作業します。
四回目の切返しは三回目の切返し後、3~5日(内部温度が70℃程度になってから1~2日後)程経過してから行います。この時点では発酵臭がなく、軽量で、ねじれると切れるようになります。
水分は70%程(握り締めると指の間から水がにじむ程度)が望ましく、PHは7.0~7.5前後が適当です。切返しの延期は堆肥の発酵状態をよく見て決めますが、発酵状態は栽培時期、周囲の温度条件、積み方、含水量の差異によって異なります。
◎良質堆肥の特徴
  • ワラの形状は原形を保っており、色はムラのない栗色(飴色)。
  • アンモニア臭などの臭気がない。
  • 手触りは柔軟で弾力があり、両手で引っ張ると抵抗があるものの容易に切れる。
  • 水分は60~70%
  • PHは7.0~7.5
◎床入れと後発酵
四回目の切返し後、3日程経過してから栽培舎の棚もしくは箱によくほぐしながら移しいれ、柔らかすぎたり、隙間ができたりしないように入れます。それから板等を用いて表面を平らにしながら少し強めに押し付け、厚さが18~20cmくらいになるように表面を平らにしてならして床入れを終了します。
床入れした後は一週間程度の後発酵へと移ります。
栽培舎を密閉して室温を徐々に上げて2日目くらいに床温(堆肥温度)が56~60℃になるようにして、この温度を6~8時間持続させます。これによって再度均一な発酵を行うと同時に低温殺菌ができます。
その後堆肥内の微生物の増殖をはかり、余分なアンモニウムを放出して堆肥を熟成させるために、堆肥温度を45~55℃に保ち4日間経過させます。その後、換気扇などを用いて速やかに堆肥温度を下げます。その際、夕方や夜間といった気温の低い時間に行うと効果的です。
◎植え付け
堆肥内温度が25℃以下になったら種菌の植え付けをします。まず3.3㎡(1坪)に一袋(3000cc)の割合で種菌を用意します。
種菌を塊のないようにほぐしてから3分の2を堆肥によく混ぜ込みます。残りは表面に撒いて堆肥に埋めるように撫で入れます。
作業が終了したら堆肥内が24℃前後になるように室温を20~22℃程に下げて(堆肥内温度は室温より高くなる)湿度65~75%前後で培養すると二週間ほどで堆肥全体に菌糸が伸びます。この時保湿や害菌を防ぐために、紙や有孔ビニールで堆肥の表面を覆います。(結露水に注意する)
◎覆土及び管理
菌糸が堆肥全体に伸長したら、赤玉土などの団粒構造をしていて通気がよく保水性があり肥料分の少ないものを3cm程度の厚さにして堆肥表面に載せます。炭酸カルシウムを混ぜてpHを7.0~7.5に調製します。覆土の水分を60~65%です。覆土は後でも使用するので少し残しておいてください。
湿度を85%程度に保ちながら培養し、覆土が乾燥してきたら、霧吹きで湿る程度に散水すると10日~14日で覆土の表面まで菌糸が伸びてきて白く見えてきます。そうしたら室温をゆっくりと下げていき、最終的に15℃位になるようにします。
また、キノコの発生時期には多量の酸素が必要になりますが、急激な換気は避けて徐々に穏やかな換気をして湿度管理にも気をつけてください。
しばらくすると覆土の表面に豆粒のように白い塊(ピンヘッド)が出てきますので、なるべくピンヘッドに水がかからないように散水管理していきます。
また、ピンが出てくると菌糸の活性が高くなり水をどんどん吸収しますので覆土も乾燥しやすくなりますが、散水量が多いとキノコが水を吸収しすぎて品質が低下しますので、散水量は覆土全体が湿る程度にして、水溜りや堆肥まで水がもれることのないようにしてください。
◎収穫
傘の裏の膜と柄の間に隙間(3㎜くらい)ができ、触ると少し柔らかくなっている程度が収穫です。膜が切れると商品価値が低下します。
収穫方法は柄を少しねじりながら手前に倒すようにすると簡単に採れます。収穫すると覆土に菌糸の塊が残りますので、ある程度収穫をした段階でナイフ等を用いてえぐり取るようにして下さい。そうすると覆土に穴が開きますので残しておいた覆土で穴を埋めて平らにしてください。この作業のときに害菌や変色したキノコを除去すると今後の被害を軽減できます。
収穫が終了して次の発生までは約一週間の周期となり、収穫期間は60~120日くらいです。
◎終了
収穫が終了した室なrびに堆肥は害菌などが繁殖しやすいので、蒸気殺菌(80℃以上)またはホルマリン消毒(1~2%〔34~17倍希釈〕)を施し、速やかに栽培舎の外に出してください。